ヘルペス感染症って聞いたことありますか?ヘルペスはウイルスによる感染症ですが、ヘルペスウイルスには多くの種類があり、その症状も様々あることをご存知でしたか?
一度感染してしまうと繰り返し発症するケースも多く、特に妊婦ママが性器ヘルペスに感染した場合は、赤ちゃんに影響することもあり注意が必要です。
ヘルペス感染症はその原因や治療方法など正しい情報を得て、必要以上に怖がることなくキチンと対応することが大切。今回は不安を抱える妊婦ママのために、ヘルペス感染症についてしっかりご紹介していきますね!
もくじ
妊娠初期症状の一つ、ヘルペス感染症とは?

妊娠中は、様々な不快な症状に悩まされることがありますが、ヘルペス感染症は自分が辛いだけではなく、お腹の赤ちゃんにも関係する病気になる可能性があるんです。




ヘルペスってどんな病気?
ヘルペスは「疱疹(ほうしん)」という小さな水泡(みずぶくれ)が現れる、急性の皮膚病のことです。特にこのヘルペスが陰部(いんぶ)やお尻に出来る場合は性器ヘルペスと言われ、その症状は痛みを伴(ともな)いかなり辛いものです。これは主に単純ヘルペスウイルスが原因となって発症すると言われているのです。
単純ヘルペスウイルスには1型と2型がありますが、性器ヘルペスの場合はほとんど2型が原因!主に性行為を通してウイルスに接触し発症します。
ヘルペスが口唇(こうしん)に出来る場合は、同じ単純ヘルペスウイルスの1型が原因となります。口唇ヘルペスを発症している人とオーラルセックスをした場合も、性器ヘルペスを発症する可能性があるので注意が必要ですね。
予備知識が少ないと無防備な行動を取りやすく、こうしたウイルスに感染してしまうことも多々あるのが現実です。自分と大切なパートナーを守るため、そして後には赤ちゃんを守るためにも、性感染症に対する正しい理解と行動は、とても大切なことですね。

一度ヘルペスに感染してしまうと、なかなか完治することが難しく、一旦は良くなっても体調によって再発するケースが多いことが特徴です。
初めてヘルペスに感染した場合
実際にはどのような症状があるのでしょうか?実は初めて感染した時と再発した時ではその症状が少し異なります。通常、初めて感染した時の方が症状は重くなるようです。
- ピリピリした痛みのある水泡や潰瘍(かいよう)ができる
- 性器ヘルペスの場合、排尿時にしみたり、排尿が困難になる
- かゆみ、ただれを起こす
- 足の付け根のリンパが腫れる
- 発熱したり全身の倦怠感(けんたいかん)が起こる



そうなのです。ヘルペスウイルスの感染は性行為を含む、唾液(だえき)や尿、精液などを介(かい)した皮膚や粘膜(ねんまく)の接触によって起こります。つまりパートナーや密接な関係のある人の間で感染してしまう・・・という事なんですね。
引用 インスタグラム
看護学生のメモにもしっかり「産道感染」の文字が見えますね。
感染したのに発症しない場合でも、人にうつしてしまいます。単純ヘルペスは大人になるまでに50〜80%の人が感染すると言われるほど、誰にとっても起こりうる身近な感染症なのです。
もちろん妊婦ママから赤ちゃんへの感染もあり得ます。出産時に産道で感染するほか、出産後に周囲の環境などから感染したり、ごく稀(まれ)ですが、場合によっては妊婦ママの胎内で感染する事もあります。
ヘルペスは再発率も高い
ヘルペスは再発の場合、どのような症状が出るのでしょうか?「え!初めて感染した時と違うの?」と驚く方もいるかもしれませんが、実は再発の方が比較的症状が軽いことが多いのです!
再発は体内に潜(ひそ)んでいたウイルスが活性化することで引き起こされます。症状が軽くなる原因は、既に体内にウイルス抗体を持っているためで、治癒するのも比較的短期間になる傾向にあります。
- かゆみや痛み、灼熱(しゃくねつ)感がある
- 足の付け根あたりに鈍痛がある
- 触れるとピリピリと痛い
性器ヘルペスの再発率は8割以上と非常に高く、多くの人が1年以内に再発すると言われています。特に体調が変化しやすい月経前や、疲れが溜まっていて抵抗力や免疫力が落ちている時などに再発しやすいようです。
こんなに再発率が高いなんて嫌ですよね。体が疲れてると発症するケースが多いので、疲労度のバロメーターになると言えますね!発症した時は体が休めとサインを出していると思って、自分の体をいたわるくらいの気持ちで過ごすと良いかもしれません。
一度発症してしまうと、体調次第で頻繁(ひんぱん)に性器ヘルペスに悩むことになるので、なんとも厄介な感染症です。
妊娠中のヘルペス発症と赤ちゃんへの影響
妊婦ママが性器ヘルペスを発症すると、お腹の赤ちゃんに影響があると言われていますが、これは「新生児ヘルペス」という病気のことです。新生児ヘルペスは、新生児が単純ヘルペスに感染した状態のことを言います。
つまり妊婦ママのヘルペスウイルスは、生まれてきた赤ちゃんに影響があるということで、お腹の赤ちゃん(胎児)には、妊婦ママが発症したヘルペスが直接影響を与えることはほとんどなく、不安に感じる必要はありません。
では、どのような状況が赤ちゃんに良くない影響を及ぼすのでしょうか?
妊婦ママのヘルペスは出産時に注意!
出産時、妊婦ママだけでなく赤ちゃんも必死に力を振り絞り、産道を降りてきますよね。実はヘルペスに感染した妊婦ママの場合、赤ちゃんが産道を通る時にウイルスに触れて感染し、新生児ヘルペスを発症する可能性があるのです。
特に外陰部(がいいんぶ)や大腿部(だいたいぶ)内側などに単純ヘルペスの水泡があると、産道感染することがあります。新生児が単純ヘルペスに感染すると、その死亡率は40〜80%にもなると言われていて、その確率に少し驚いてしまいますよね。
妊婦ママが性器ヘルペスに初感染した場合の出産だと、産道感染率が発生する確率は約50%、再発での産道感染率は5%程度です。
しかし、外陰部に単純ヘルペスの水泡がある場合は、破水や陣痛の際の産道感染を防ぐため、帝王切開で出産するのが一般的です。一方、初感染の場合は外陰部の水泡が消えてから1ヶ月以上、再発では水泡が消失してから1週間以上経過すれば、産道感染の危険は少ないとも言われています。
もちろん出産時に水泡が完治していない場合でも、事前の妊婦検診で症状の度合いをキチンと把握することで、リスクを回避する対応は十分に可能なので安心して下さいね!
万一妊娠中に性器ヘルペスを発症したとしても、このように妊娠の継続や出産は可能であり、新生児ヘルペスを回避する方法は医師と相談しながら対応することができます。
こうした対処を行うことで、赤ちゃんへの影響もほとんどなく出産に臨(のぞ)めるため、必要以上に心配することはありません。
性器ヘルペスの治療法はあるの?
残念ながら、現時点では単純ヘルペスを死滅させる治療法は確立されていません。そのため性器ヘルペスの治療は、ウイルスの増殖を抑えたり、症状を緩和させることが中心です。
主な治療法としては、内服薬、軟膏(なんこう)、クリームなどのタイプがあり、症状や患部によって薬を使い分けます。
妊娠初期に発症した場合は、お腹の赤ちゃんへの影響を考慮して内服薬はあまり使用せず、軟膏やクリームを使っての治療が一般的となるので、安心して治療を受けることが可能ですね!
妊娠中期から後期にかけて発症し、比較的症状が強い場合は、軟膏やクリームと併用して内服薬を使うこともあります。
内服薬には「抗ヘルペスウイルス薬」が使われますが、抗ヘルペス薬にはアシクロビル、バラシクロビル、ビタラビンといった種類があり、中でもアシクロビルは妊婦ママに投与しても副作用がなく、流産などを引き起こす可能性もほとんどない薬と言われているので安心してください☆
アシクロビルは妊娠中の単純ヘルペス再発を防ぐ目的で、継続的に投与されることもあります。「妊娠中の内服薬はちょっと心配」という妊婦ママは、医師に相談した上で症状や状態と合わせて治療内容を決めることをおすすめしますよ。
引用 インスタグラム
症状がひどい時は、患部に軟膏を塗るため、指先で触れるだけで激痛が走ることもあります。辛いですね・・・。
とはいえ症状が重い場合には、内服薬や点滴投与で治療した方がいいケースもあるので、必ず医師に相談して治療していきましょう。
妊娠中の感染症について妊娠初期症状☆リンパ節の腫れに共通する怖い感染症を調査!!でも色々とご紹介しています。是非こちらも読んでみて下さいね♪
まとめ
- ヘルペスはウイルス感染による皮膚病
- 外陰部に水泡ができて、その症状は痛みを伴う辛いもの
- 初感染は症状が重くなる傾向があり、再発率も高い
- 妊娠中の胎児への影響はあまりないが、出産時には赤ちゃんに産道感染する可能性も!
- 産道感染の危険がある時は帝王切開などで対応可能
ヘルペスは一度発症すると完治(かんち)が難しく、疲れて免疫力が下がっているような時、また忘れた頃に再発することが多々あります。自分の体調管理のバロメーターのつもりで、焦らずに治療し、末長くうまく対処していくことが懸命と言えます。