念願(ねんがん)の妊娠(にんしん)をしたときは、本当にうれしい気持ちでいっぱいになりますよね。しかし、女性の場合はうれしい気持ちとは反対に、つわりでつらい思いをされる方が多く、その経験をされる方は80%~90%と言われています。
妊娠された方のほとんどがつわりを経験しており、逆につわりが無いと心配になってしまうお母さんがいらっしゃるくらいです。特に、妊娠初期と言われる4週目~15週目までにつらい症状が見られ、その中でも吐(は)きづわりの重い症状が妊娠悪阻(にんしんおそ)と言います。
妊娠悪阻は通常のつわりに比べると症状が重く、長く続く傾向があります。つわりよりも症状が重いと、母体も心配ですが何よりお腹の赤ちゃんへの影響(えいきょう)が心配になりますよね。そこで、今回は妊娠悪阻とは何か?症状や対策を紹介していきますので一緒に見ていきましょう。
もくじ
妊娠悪阻ってなんなの?
妊娠の兆候(ちょうこう)でもあるつわりですが、妊娠初期に吐き気を伴(ともな)う胃や胸などのむかつきが症状として現れます。
この吐き気、嘔吐(おうと)を吐きづわりと言い、この症状が悪化したものを妊娠悪阻と言われているのです。通常は12週目~16週目頃までにつわりの症状も消えていきますが、一度症状が消えても後期(こうき)に再発することを後期悪阻と言います。


妊娠悪阻になる原因
妊娠すると体内のホルモンバランスが変化します。変化したホルモンには、『卵胞(らんほう)ホルモン』、『黄体(おうたい)ホルモン』、『ヒト絨毛性(じゅうもうせい)ゴナドトロピン(hcg)』があり嘔吐中枢(ちゅうすう)を刺激することで、妊娠悪阻が発症すると考えられます。
hcgは成長する胎盤(たいばん)が作り出すホルモンで妊娠を維持する働きをしますが、低血糖(ていけっとう)、胃酸の増加、ストレス、疲労などの要素で起因する場合もあるのです。
しかし、妊娠悪阻の原因についてははっきりと特定されているわけではありません。原因が特定されていないので対処法がはっきりしていないのも事実です。


妊娠悪阻の症状
妊娠悪阻は、吐き気や嘔吐を繰り返し食事や水分が十分に取れなくなる症状です。疲労やめまいなど重度の脱水症状や、体重が急激に減ったり、トイレの回数が減ったりする症状があらわれ、妊婦さんの約0.5%くらいの確率で発症します。
場合によっては、脳や肝臓などに障害を引き起こす重大な合併症(がっぺいしょう)につながる可能性もあり、症状が長引く場合は子宮内(しきゅうない)の胎児(たいじ)が死亡してしまう可能性や、多臓器不全(たぞうきふぜん)で母体も死亡してしまう恐れがあります。
食事や水分が取れなくなり、めまいなどの症状が出た場合は、早めに受診するようにしましょう。


妊娠悪阻の症状を軽くする5つの対策
妊娠悪阻は夜よりも朝方につらい症状が出るケースが多いですが、特に食事の取り方を注意していくことで改善されるケースがあります。では、妊娠悪阻を軽くする対策とはどういうものでしょうか。
- 水分をしっかり取る。
- 食事を小分けにする。
- 葉酸やサプリメントで栄養補給する。
- 仕事や家事で無理しすぎない。
- 気分転換でリフレッシュする。
それぞれの対策を詳しく見ていきましょう!
水分をしっかり取る
嘔吐を繰り返していくと、脱水症状を起こしてしまう可能性が高くなります。水分はこまめに補給しましょう。その際、お水よりもナトリウムやイオンが多く含まれているスポーツドリンクがおすすめです。
食事を小分けにする
1回の食事で必要なカロリーが摂取(せっしゅ)できなくても問題ありません。無理に食べようとすると吐き気や嘔吐につながりますので、1回の食事の量を減らし4回~6回くらいに分けましょう。
栄養の偏(かたよ)りを気にする方もいますが、栄養よりもカロリーの摂取が一番大切になります。
つわりがつらい時の食事に関しては、つらいつわりの対策になる食べ物や飲み物についてご紹介します!!にて、つわりの時にも食べやすい食べ物や飲み物を詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
葉酸(ようさん)やサプリメントで栄養補給する
食事が思うように取れない場合は、葉酸などのサプリメントを活用しながらスポーツドリンクなどでしっかり水分を補給しておきましょう。症状が重い場合は病院に行き、点滴で水分や栄養を補給することをおすすめします。
仕事や家事で無理しすぎない
妊娠悪阻で体調が良くないときは、仕事や家事を無理しないことです。においにも敏感(びんかん)になる時期ですので、食事の準備や通勤電車のにおいも耐えられないことがあります。
仕事では、職場に早めに報告をして通勤時間を変えてもらったり、在宅ワークに変えてもらえるように相談をして、家庭では家族に協力してもらいましょう。
気分転換でリフレッシュする
妊娠悪阻やつわりは精神的な要因も考えられていますので、身体が動かせるのであればウオーキングやストレッチなど、軽めの運動でも十分リフレッシュできます。身体を動かすことが難しいのであれば、横になって好きなドラマや映画などを見てリフレッシュしましょう。


妊娠悪阻になった後の妊娠確率は変わる?
妊娠悪阻になったからと言って、妊娠の確率が下がることは無いようです。また、1度妊娠悪阻になったからと言って次も同じ症状になるとは限りません。しかし、妊娠悪阻の症状が大変つらく、2回目の妊娠を躊躇(ちゅうちょ)してしまうお母さんもいらっしゃいます。
この問題を解決するには、つわりや妊娠悪阻の原因を1日でも早く究明されることです。しっかりとした対策を取れる日が来るといいですね。


まとめ
- 妊娠悪阻とはつわりの症状が重症化してしまうこと。
- 妊娠悪阻の症状は、吐き気や嘔吐を繰り返し食事や水分が取れず脱水症状を起こしてしまう。
- 妊娠悪阻の症状を軽くするには、水分補給、食事を小分けにする、葉酸はサプリで栄養補給する、仕事や家事で無理しない、気分転換するなど5つの対策がある。
- 妊娠悪阻になっても妊娠する確率は変わらない。
妊娠悪阻はつわりの症状が更に重症化したことですので、身体への負担は想像を絶することだと思います。つらいときこそ一人で頑張るのではなく、ご家族をはじめ、まわりの方々にサポートしてもらってください。
妊娠悪阻には終わりがあり一時的なことと考え、その後は最愛の我が子とのご対面が待っています。