将来子供が欲しいと思う気持ちは、女性なら誰しもが考えることですよね。しかし今すぐ出産できる状況ではないのであれば、若いうちに卵子(らんし)を凍結保存しておくという方法があるんです。
いずれ出産を考えるときが来たら、凍結(とうけつ)しておいた卵子を解凍(かいとう)し、体外受精で出産することもできます。しかし卵子凍結での妊娠や子供の健康などを考えると少し不安な気持ちもありますよね。
そこで今回は、卵子凍結したときの妊娠確率やリスクなどについて詳しく紹介していきます。
もくじ
卵子凍結ってなに?
卵子凍結とは、卵子の老化を防ぐために将来の妊娠・出産に備(そな)えて事前に卵子を採取(さいしゅ)し凍結保存しておくことです。最近では、女性の社会進出によりキャリアを積む時代になり、その影響で結婚の高齢化が進み、高齢出産も増えてきています。
年齢が上がれば妊娠する確率も下がってしまうので、事前に卵子凍結をしておくことで未然(みぜん)に防ぐことができるようになりました。


なぜ卵子凍結を考えるの?
卵子を育てる卵胞(らんほう)には原始(げんし)卵胞とういうものがあります。生まれてきたときにはこの原子卵胞が卵巣(らんそう)に約200万個ありますが、年齢と共に減っていきその後増えることはありません。
若いうちに妊娠・出産することが望ましいですが、必ずしもそのようにいかない方が増えているのも事実です。そこで卵子凍結を検討する方が増えてきているのですが、どんな理由があるのでしょう。
- 抗がん剤治療の影響を受けないようにするため
- 将来の出産を考えて、若い卵子を残しておきたい
- いずれパートナーができたときに備えておきたい
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう♪
抗がん剤治療の影響を受けないようにするため
がん治療の影響により卵巣機能の低下や卵子が減少してしまったり、妊娠そのものが出来なくなってしまう可能性があります。しかしあらかじめ卵子を凍結保存しておけば、完治した後に体外受精で妊娠する事ができます。
将来の出産を考えて若い卵子を残しておきたい
「今は仕事に集中したい。」「3年後のオリンピックを目指したい。」など、理由はさまざまですが、今すぐ妊娠や出産を考えられない方も多くいらっしゃいます。そこで加齢による不妊を回避するための手段として、卵子凍結をしておこうということになるんですね。
いずれパートナーができたときに備えておきたい
現在パートナーがいなくても、いずれ素敵なパートナーができたときに出産適齢期を越えてしまう可能性もありますよね。そこで不妊の可能性を下げる手段として若いときに卵子凍結をする方も増えています。


卵子凍結したときの妊娠確率はどのくらいあるの?
受精卵(じゅせいらん)を凍結した場合、融解(ゆうかい)後の生存率は90~97%にくらべて、卵子凍結の場合、融解後の生存率は68%~89%となっています。
そこから受精率は71~85%、着床率17~41%、融解卵子1個あたりの妊娠率は4.5~12%程度と言われており、年齢別の妊娠確率は以下の通りです。
- 30歳以下 35%
- 31~34歳 30%
- 35~37歳 25%
- 38~39歳 20%
- 40歳以上 15%以下
そして年齢を重ねるにつれて、出産できる確率はさらに低くなってしまいます。


卵子凍結の注意点とは?
将来を見据えて妊娠・出産に備えておくことは大切ですが、卵子凍結はリスクがありますので、そこも考慮(こうりょ)して検討する必要があります。以下は卵子凍結の注意点をまとめました。
- 年齢制限
- 保存期間
- 身体への負担
- 高額な費用
ではそれぞれの注意点を詳しく紹介していきますね。
年齢制限
卵子の凍結保存の年齢制限ですが、日本生殖医学会のガイドライン(外部リンクに飛びます)には40歳以上は推奨(すいしょう)できないとされています。
理由としては40歳を越えてくると卵子の質が低下してしまい染色体異常(せんしょくたいいじょう)が起きて、『受精(じゅせい)障害』や『流産(りゅうざん)』など妊娠しても妊娠継続が難しくなってしまいます。
また、使用は45歳~50歳までとしている所が多いので準備期間も考えると早めに検討しておいたほうが良さそうですね。
高齢による流産について流産の原因となる染色体異常とは?染色体について詳しく解説します!では、染色体や染色体異常について詳しく書かれていますので、ぜひ参考にしてみてください。
保存期間
卵子凍結の保存期間は、凍結日から1年間です。例えば1月1日に凍結が行われた場合、その年の12月31日になります。その後は廃棄(はいき)か更新するかの選択になり更新料が発生するケースがあります。
また使用できる年齢が45歳までとしている所が多いですので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
身体への負担
ホルモン剤により、卵巣過剰刺激症候群(らんそうかじょうしげきしょうこうぐん)などの副作用の可能性や卵巣に針を刺すことで感染・出血のリスクがあります。加齢による高齢出産のリスクは変わりません。
高額な費用
健康な女性の卵子凍結は自費診療になり、約35万位~となる所が多いようです。ただし厚生労働省は2021年度から、がん治療前に卵子などを凍結保存する費用を助成すると発表しました。凍結した未受精卵子などで妊娠できるかどうかの研究事業として実施しているようですね。
高額になる医療費ですが、一部助成金などがあります。不妊治療は助成金の医療費控除の対象?分かりやすく説明します!では、高額な医療費に対しての医療費控除(いりょうひこうじょ)が詳しく書かれていますのでぜひ参考にしてみてください。


まとめ
- 卵子凍結とは、若いうちに卵子を凍結しておくことで将来に備えておくことができる。
- 卵子凍結をする理由は、病気の治療後やパートナーができたときに妊娠できるようにしておくため。
- 卵子凍結による妊娠確率は4.5%~12%ほど。年齢が高くなれば妊娠確率は下がる。
- 卵子凍結の注意点は、年齢制限、保存期間、身体への負担、高額な費用などがあげられる。
いろいろな事情で今妊娠の予定が無くても、将来のことは誰にもわからないですよね。先を見据えて事前に卵子凍結をしておけば、来たる日のために妊娠の準備をしておくことができます。
妊娠確率もこの先の医学の発展により、さらに良くなっていく可能性は十分にあります。ひとつの選択肢としてぜひ検討してみてください。