「子どもが欲しい!」そのように感じることは、夫婦やカップルにとって子どもを授かる為の第1歩ですよね。子どもが欲しいと願い行動し、生まれるのは素敵(すてき)なこと☆
子どもが欲しいと思った全ての夫婦やカップルに子どもができれば幸せですが、そうはなりません。妊娠は100%ではないからです。ところで、妊娠の確率が年齢と関係していることはご存じですか?女性の年齢と妊娠の間に関係があることは、知っている人も多いかもしれませんね。
逆に、男性の年齢が妊娠率へとどのように影響するかということは、知っている人が少ないのではないでしょうか。今回は、男性の年齢と妊娠の確率への影響についてみていきます。妊娠についてお悩みの方や、今後子どもが欲しいと感じている人の参考になれば嬉しいです!
もくじ
加齢と妊孕力(にんようりょく)

妊孕力という言葉を知っているでしょうか?妊孕力とは『子どもを妊娠させる(する)能力』のことを指します。なぜこの言葉をお伝えしたかというと、加齢との間に関係性があるからですね!
性別を問わず、加齢と共に妊娠させる(する)力は低下すると言われています。男性と女性、それぞれにとって妊娠の確率に大きく影響(えいきょう)するものが精子と卵子です。もちろん他にも要素はありますが、今回はこの2つに注目しましょう☆
卵子と妊孕力
卵子の元となる原始細胞(げんしさいぼう)は、生まれた瞬間から卵巣(らんそう)の中に存在しているものです。次々と生成されるものではなく、年齢と共に原子細胞も年を重ねていきます。
例えば27歳の女性がいた場合、原始細胞も27歳というわけです!年齢の場合、歳を重ねることを老化といいますよね?老化すると、足腰が悪くなったり骨が弱くなったりという症状(しょうじょう)がでます。それでは、原始細胞が老化するとどうなるのでしょうか?
- 染色体(せんしょくたい)異常を持った卵子が増える
- 卵子が受精卵や胚(はい)にならない確率が上がる
- 受精卵が育たず着床(ちゃくしょう)しない
- 着床しても流れてしまう
上記のような症状が挙げられます。着床しても流れるというのは、いわゆる流産というものですね。今回は触れませんが、流産の原因となる染色体異常とは?染色体について詳しく解説します!にて流産の原因についてまとめているので、気になる方はチェックしてみてください!
精子と妊孕力
さて、次は男性の精子と妊孕力についてご説明しますね。さきほど卵子は、女性の年齢と共に年を重ねるとお話しました。では、精子も同様に年齢と共に年を重ねるのでしょうか?それは否(いな)です。卵子と異なり、精子は日々再生産が行われています。


日々新しく作られているけど問題がある・・・ナゾナゾみたいですね。正解は『加齢と共に作られる精子の質が低下する』でした。いくら新しいものがどんどん作られるとしても、1つ1つが欠陥品(けっかんひん)であれば問題ですよね?
精子の質の低下
精子の質が低下すると言っても、ピンとこない人が多いかと思います。なので、精子の質とは何で判断するのかをお話しておきましょう!精子の質とは、受精(じゅせい)能力とDNAの損傷率(そんしょうりつ)を指しています。これら2つが悪いと何が起きるのかというと・・・。
- 卵子が活性化せず、正常な受精卵ができない
- 仮に受精できたとして胚が育たない
- 着床しない
- 妊娠しても流産となってしまう
こうしてみると、卵子が老化したときにおきる症状と似ていますよね?男性の加齢による妊娠への影響は、女性に比べると耳にすることが少ないだけで、実際には同じように影響しているのです!
精子の質が落ちる割合
年齢と共に質が落ちると聞くと、実際どの程度変化するのかが気になってきますよね?仮に微量しか低下しないのであれば、心配ないのではないかと思うかもしれません。
日本生殖(せいしょく)医学会が研究したところによると、30代と50代の精子を比べた結果、以下のように質が低下したと報告されているのです。
- 精液量:3~22%
- 精子運動率:3~37%
- 精子正常形態率:4~18%
こうしてみると、無視できない割合だと思いませんか?仮に3つ全ての質が最大値で低下したとすると、かなり大きな割合で能力が低下してることになります!
妊孕力が落ちる割合
デンマークで行われた研究にも、興味深い結果がでたそうです。この研究では、年齢のみの影響(えいきょう)で妊孕率を計算して、年代ごとに妊孕力に差がでるかをみました。その結果、30歳を最大として45歳ごろと比較すると、20%も減少しているという事実が判明!


さて、ここまで年齢と妊孕力の関係についてみていきましたが、これは抗(あらが)えるものではありません。生きていれば誰しもが平等に年を重ねていきます。しかし、妊孕力の低下に年齢以外の要素があれば、抗える気がしませんか?次は年齢以外の要素をみてみましょう。
妊孕力を下げる年齢以外の要素

今回は妊孕力の中でも精子という部分に注目してみていくので、精子の質を下げる要因をご説明!年齢以外の要素としては大きく3つ、『生活習慣』『酸化ストレス』『精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)』があります。
生活習慣
まずは生活習慣!これはイメージがつきやすい項目ですね☆精子によくない生活習慣を一覧にすると、このような感じになっています。
- 喫煙
- 高熱環境(サウナや膝の上でPCをつかうなど)
- 長時間座っている
- ブリーフを日常的に履(は)いている
- 睡眠不足
- 運動不足
- 長い禁欲期間
- 自転車競技
妊孕力の低下に限らず、日々を健康に過ごす為に大切なものがほとんどですよね。一方で、『ブリーフを日常的に履いている』や『自転車競技』はなんで?と思う方も、多いのではないでしょうか。

ブリーフや自転車競技は、精巣への血流が悪くなるので良くないとされています。あくまでも『精巣にとって』というところが、重要なポイント!精巣とは精子を作る為の器官で、血流が悪くなると、ED※勃起不全(ぼっきふぜん)を招(まね)く可能性が増すんです!
酸化ストレス
酸化ストレスは、喫煙や飲酒/睡眠不足や栄養不足といった不健康な生活習慣の人が激しい運動を行った際に発生しやすいものです。体内の抗酸化システムというものが対応しきれなくなり、精子への酸化ストレスが増加します。
ストレスと名前がついているくらいですから、身体に悪いイメージはできますよね?具体的にどういう影響があるのかというと、酸化ストレスにさらされた精子は、運動率の低下/奇形(きけい)精子の増加といった症状がみられます。
精索静脈瘤
最後に精索静脈瘤についてお話しますね。あまり耳にしたことがない方も多いかと思いますが、かなり重要なものなのです!なんと、男性不妊の最大の原因となっているとされています!割合にして、男性不妊の約40%!恐ろしいですね・・・。
精索静脈瘤とは、精巣から心臓にもどる静脈である蔓状静脈叢(つるじょうじょうみゃくそう)内の血液が逆流して、精巣まわりの静脈にこぶができてしまうことを言います。
健常な男性の15%ほどは、精索静脈瘤があるとされているのですよ!とても心配なものですが救いとして、手術することにより治ることや改善されることがあります。
日常に気を付けて、精子の質を守ろう!

ここまで、妊娠の確率を低下させる要素として精子の質を割合と共にみていきました。2020年現在における医療技術では、加齢にストップをかけることはできません!
しかし、諦めることはないのです。年齢以外の精子の質を低下させる要因について学びました!つまり、年齢以外の部分で精子の質を守るべく動けばよいのです!ここからは、日常的にできることを学んでいきましょう!
生活習慣の見直し
精子によくない生活習慣の逆ですね。日常生活を見直すことによって、精子の質を守ることに繋がります。
- 喫煙している人は禁煙する
- 炭水化物の取りすぎによる肥満(ひまん)を防ぐ
- 抗酸化作用のある食べ物を食べる
- 睡眠不足の改善
- 運動不足の改善
自分の意思次第で、どれも改善できそうです☆抗酸化作用のある食べ物に関しては、次の項目でまとめていきますよ♪


抗酸化作用のある食べ物
抗酸化作用のある食べ物には、どんなものがあるでしょうか。栄養素とあわせて、一覧にしてみました!
- ビタミンC:果物や緑黄(りょくおう)色野菜など
- ビタミンE:植物性の油(ひまわり/べに花)など
- ポリフェノール:コーヒーやワイン/紅茶など※取りすぎ注意
- ミネラル:わかめなどの海藻(かいそう)類
- カロテロイド:果物や緑黄色野菜など
最近ではサプリメントも多く発売されているので、普段の食生活に併用して栄養素を摂取(せっしゅ)していくとよいですね♪精子の質だけでなく、シンプルに日々の健康にも繋がるので、これを機に意識して生活してみましょう☆
検査と治療
男性不妊の最大の要因とされている精索静脈瘤は、手術することにより治療や改善されます。健常な男性の15%程度にみられる症状なので、現在不妊にお悩みの方はもちろん、将来的に子どもを考えている人は要チェックです!
精索静脈瘤検診というものがあり、自分が該当するか検査できます。病院にもよりますが検査は5,000円程度で受けることができるので、試してみやすいのではないでしょうか。施術方法にもよりますが仮に手術するとなった場合、日帰りで済む方法もあるみたいですよ!
まとめ
- 男性の年齢にも妊娠率への影響はある
- 男性の精子は加齢とともに質が落ちる
- 精子の質は年齢以外の要素でも落ちる
- 年齢以外の要因は対策できる
- 原因によっては手術で改善が可能
今回は男性の年齢が妊娠の確率へと影響するのかをみてきました。様々な場所での研究結果で報告されているように、無視できない割合で精子の質が落ち、結果的に妊娠の確率も低下してしまいます。
精子の質は30歳前後をピークとして、45歳をこえた頃には、ピークから20%近く妊孕力が低下することも・・・。また、精子の質は加齢だけではなく日々の生活習慣によっても低下します。
加齢はどうすることもできませんが、せめて日々の生活習慣は気を付けていきたいですね。子どもだけでなく、ご自身の健康にも大切な生活習慣・・・これを機に、ぜひ見直してみてください!