妊娠出産は大変喜ばしいことですよね♪しかし妊娠しても、残念ながら流産(りゅうざん)や死産などが起こってしまい、全員が無事に赤ちゃんを産むことが出来るわけではありません。また、何らかの障害や病気を持って生まれてくる赤ちゃんもいるのです。
我が子なら障害や病気を持って生まれてきても愛し大事にしたいと思いますよね。しかし、その子の将来などを考えて「健康体で生まれてきてほしい」と親だからこそより一層強く思うのではないでしょうか。
生まれつきの障害や病気は色々ありますが、今回は顔や手足の形などの他に、脳や心臓などの内蔵に異常が起きてしまう奇形(きけい)についてお伝えしていきます。
もくじ
奇形とは?
奇形は、先天奇形や先天異常とも言われ、お母さんのお腹にいる段階で身体的に異常が起こることです。染色体(せんしょくたい)異常で起こる場合や母体からの病原菌感染、母親が飲む薬などが原因となるケースもあるようですが、6割が原因不明で起こっているというデータがあります。
妊娠した女性の100人に1人、つまり1%の確率で奇形は起こっていますが、染色体異常が起こる可能性は妊娠した年齢とともに上がるので年代によって多少の変動があります。しかし、1%という確率はとても他人事とは思えないですよね。
奇形の6割は原因不明で起こっていますが、4割は原因が特定出来ています。そこで原因を知り、少しでも奇形が起こる可能性を下げましょう!


奇形が起こる原因
奇形の種類によってはリスクを回避(かいひ)できるものもあります。ですから原因と予防法を知り、お腹に宿った我が子を少しでも奇形のリスクから守りましょう!
- 染色体異常
- 感染症
- 薬の服用
- 放射線被ばく
- 母体の栄養状態
これらが特定出来ている奇形の原因です。染色体異常は残念ながら予防することが出来ませんが、他の原因は予防することが可能ですよ。
奇形の予防法
奇形の原因を知り、気をつけることが予防法となります。この予防法を行えば奇形は絶対に起こらないわけではありませんが、少しでもリスクを下げるためにも行うことが大事ですよ。
感染症に気をつける
妊婦が特定の感染症にかかるとお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすのです。中でも風疹(ふうしん)にかかると難聴(なんちょう)や白内障(はくないしょう)を発症する恐れがあり、ほとんどの産科では抗体検査を行います。
また、猫などのトイレから感染する恐れのあるトキソプラズマ症など、身近なところにも気をつけたい感染症があるので注意しましょう。
妊娠中は病院で処方された薬以外の服薬を避けなければいけません。ですので、手洗いとうがいをしっかりと行い、マスクをつけるなどして様々な病原菌にかからないように心がけてくださいね。
薬の服用
薬の種類によっては奇形の原因となるものがあります。妊娠中には服用出来ない薬がたくさんあるので、薬を服用する際は必ず医師に確認しましょう。独断で判断し、服用するのは危険ですので絶対にやめてくださいね。
また、サプリメントなど医薬品ではないものを服用する際も医師に確認をしたほうがいいでしょう。
放射線被ばく
妊娠中に放射線被ばくをすると小頭症(しょうとうしょう)や白内障(はくないしょう)になったり骨格や性器に異常などが赤ちゃんに起こります。母体が大量の放射線を浴びるとお腹の赤ちゃんにも悪影響を与えてしまうのですね。
しかし、50mGy(ミリグレイ)以下の放射線量なら奇形のリスクを上げる恐れはありません。そのため、妊娠に気づかずレントゲンなどを行ってしまってもさほど心配しなくても大丈夫ですが、妊娠が分かっているのならなるべく避けましょう。
母体の栄養状態
母体の栄養状態も奇形の原因となり得ります。奇形のリスクを下げるために積極的に摂って欲しい葉酸と、リスクを上げてしまうビタミンAについてご紹介していきます。
葉酸(ようさん)
妊娠中に葉酸を十分に摂(と)ると、神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)を約70%も予防が出来るというデータがあります。また、口唇裂(こうしんれつ)などの外表(がいひょう)奇形のリスクも下げることができます。
葉酸については、妊娠したら葉酸を摂取しないといけない理由は?摂取量は?で詳しく説明しているのでご参考ください♪
ビタミンA
積極的に摂ってほしい葉酸とは反対に、気をつけてほしいのがビタミンAです。ビタミンAは、大事な栄養素ですが摂りすぎると無脳症(むのうしょう)や口唇裂など赤ちゃんの器官形成異常(きかんけいせいいじょう)を引き起こす恐れがあります。
ビタミンAの他に妊娠中に気をつけたい食べ物については、流産する原因は食べ物にある?妊婦さんが食べてはいけない食材とは?で詳しくご紹介していますのでぜひご覧くださいね♪


出生前診断を知っていますか?
出生前診断とは、お腹の赤ちゃんに先天異常がおこるリスクが高い状態かどうか調べることです。超音波検査などで外表(がいひょう)奇形は発見出来ることが多いですが、染色体異常などは検査をしないとはっきりとは分かりません。
そこで、超音波検査の他に血液検査や羊水(ようすい)検査などを行い、より正確な診断が出来る出生前診断を受けることができるのですよ。しかし、出生前診断は誰でも行えるわけではなく、下の条件に一つでも当てはまる方を対象として行います。
出生前診断が必要なケース
出生前診断が必要なケースは年齢が35歳以上の方、何度も流産を経験している、染色体異常または先天異常のある子供を持ったことがある、もしくは原因不明で死亡した子供がいるのどれか一つにでも当てはまれば対象となります。
上記に当てはまる方は、日本産婦人科学会が認定した施設で検査を行います。出生前診断は、検査の内容によっては流産のリスクを高めてしまうこともあります。医師と相談しパートナーとも話し合って選択し、よく考えてから決断しましょう。
出生前診断はあらかじめ赤ちゃんの状態を知ることはお母さんの安心にも繋がりますよね!さらに、障害があることが分かっても産むと決めた場合は、早めに赤ちゃんを迎えるための準備をすることが出来ますよ。


奇形を持った赤ちゃんのための医療制度
生まれつきの病気や障害を持った子のための医療制度がありますが、奇形を持った赤ちゃんもその対象になる場合があります。治療費や手術費は高額になる場合もあるので、医療制度を活用しましょう。
育成医療(いくせいいりょう)
育成医療とは身体に障害がある18歳未満の子供を対象にした制度で、指定医療機関での治療を行う場合に利用できる市町村が行っている医療費助成制度です。原則、治療費の1割が自己負担となりますが世帯の所得に応じて上乗せされます。
口唇裂のような外表奇形の他に心臓などに異常が起こる内蔵奇形も対象となります。
都道府県ごとの心身障害者医療費助成制度
都道府県、市町村ごとに異なる心身障害者医療費助成制度があります。障害の程度や所得に応じての条件を設(もう)けている所もあるので、詳しくはお住まいの障害福祉課などにご確認ください。


まとめ
- 奇形は1%の確率で起こる
- 原因の6割は不明
- リスクを下げることが出来る奇形もある
- 出生前診断で奇形があるか知ることが出来る
- 障害児のための医療制度がある
何の病気や障害なく元気に生まれてきてほしい。親なら誰でも思い願うことですよね。少しでもそのリスクを減らしたい、その気持ちも分かります。しかし、妊娠中に行うことで奇形のリスクを下げる方法はありますが、必ずしも起こらないわけではありません。
奇形を持っていても、それはこの子の個性だからというお母さんもいます。障害があろうがなかろうが我が子はとても可愛いですよ♪