妊娠(にんしん)すると、10ヶ月もの長い期間をお腹の中の赤ちゃんと共に過ごします。しかし、食べ物や過ごし方にどれだけ気を付けていても起こってしまう『流産』は、妊婦(にんぷ)さんにとってとてもつらく悲しい出来事です・・・。

今回は流産の種類の中でも妊娠初期に発生しやすい『稽留(けいりゅう)流産』について、そして初期流産の手術の方法である『吸引(きゅういん)法』とは、一体どういうものなのか詳しくまとめてみました。
妊娠初期の流産について

10ヶ月以上もの妊娠期間の中で初期にあたる1ヶ月~4ヶ月の間は、『つわり』が始まる時期でもあります。後期のようにまだお腹が大きくないものの、お母さんの体は目まぐるしく変化しているのです。その一方で、赤ちゃんもお母さんのお腹の中で必死に成長しています。
しかし、この初期に残念ながら流産してしまう方も少なくありません。初期に起こる稽留流産は、出血や腹痛などの症状が出ることがなく、赤ちゃんが元気に育っているサインである胎動(たいどう)をまだ感じることができないので、妊婦検診で発覚することが多いのです。


初期の流産はお母さんの体や過ごし方に問題があるわけではなく、年齢問わず誰にでも起こります。初期の流産について詳しく知りたい方は、妊娠初期症状があっても絶対に妊娠を継続するとは限らない??安静に?!にて詳しく載せているのでぜひ参考にしてみてください!
流産の手術、吸引法と掻爬(そうは)法
残念ながら赤ちゃんがお母さんのお腹の中で亡くなってしまった場合、妊娠の週数によって手術の方法が変わるんです。その中でも吸引法や掻爬法が行われるのは11週までの妊婦さんに限られ、それ以降の週数の妊婦さんは通常の出産と同じような分娩(ぶんべん)方法になります。
誰しも流産になるかもしれないということを考えて妊娠するわけではないのですが、初期の流産は年齢問わず誰にでも起こりうることです。そのため、かかりつけにしようとしている産院がどちらの手術法なのか知っておくことは、今後安心して妊娠するためにとても大切なんですよ!

吸引法とは
吸引法は、亡くなってしまった赤ちゃんや子宮内に留まっている胎盤(たいばん)などの内容物を専用の器具で吸い取る方法です。全身麻酔(ますい)がかけられた後手術は10分ほどで終了し、妊婦さんはその日のうちに帰宅することができます。
吸引法には、手動と電動の2種類の方法があり産院の設備によって異なります。どちらも手術後の痛みや、子宮内膜(ないまく)への影響も少なく、安全性が高いので今後の妊娠にも影響を受けにくい手術法と言えますね!


掻爬法とは
掻爬法は子宮内の内容物を専用の器具でつまみ出す方法です。掻爬法は吸引法と方法が違うだけで、手術時間もあまり変わらず日帰りで行われます。
しかし、この掻爬法は子宮内を傷つけるリスクがあったり、子宮内膜(ないまく)が薄くなることで、次の妊娠に深刻な後遺症(こういしょう)を残す可能性があると分かっています。そのため、掻爬法は時代遅れだと言われているそうです。
産院によって手術法は異なるのですが、この方法で手術を行う場合には手術の値段などで決めるのではなく、実績のある信頼できる医師に任せるようにしましょう。

初産婦(しょさんぷ)と経産婦(けいざんぷ)の手術の違い
初期の流産手術を受ける際、器具を入れる子宮頸管(けいかん)が硬(かた)く閉じているので、手術の前日~手術の数時間前にしっかりと広げるための前処置を行います。

経腟(けいちつ)分娩を経験したことのある経産婦は、初産婦や帝王切開(ていおうせっかい)で出産をされた方よりも子宮頸管が柔らかく広がりやすいので、前処置を行わない産院もあります。


まとめ
- 妊娠初期に起こる稽留流産は、出血や腹痛などの症状が出ない
- 吸引法は子宮内の内容物を吸い取る方法
- 掻爬法は子宮内の内容物をつまみ出す方法
- 初産婦に比べると経産婦は子宮頸管が柔らかく広がりやすい
- 術後は無理せずゆっくりと過ごしましょう
吸引法はお母さんにとって負担の少ない手術方法ですが、掻爬法と同じようにお医者さんの手腕にかかってきます。そのため、妊娠が発覚した時点で、経験豊富な信頼のできるお医者さんを探してみるといいですね!
妊娠初期に起こる稽留流産は、流産の種類の中で最もお母さんが気付きにくいもので、妊婦検診で突然知らされることが多いのです。そのため、心の準備もままならず受け入れるのにも時間がかかります。
術後は気分も落ち込み、前に進むのに時間がかかるでしょう。しかし、そんなときは一人で抱え込まず、周りの人に頼って少しずつ前を向いてください。落ち着いた頃には次こそきっとあなたのお腹の中で大きく育って無事に産まれてきてくれるはずですよ!