流産をしてしまった場合、精神的に苦しくなりますよね。そして、流産後の手術にかかる費用でも不安になられると思います。そこで今回は、流産をしてしまった場合の手術の費用と保険についてご紹介します。

もくじ
流産の種類
流産には、状況や状態によって種類が分けられています。流産の種類によっては、手術内容や費用が異なるので説明します。
流産の詳しい症状については、流産の兆候は出血と腹痛?!どうすれば流産を食い止めることができる?で説明しているのでご参考にしてみてくださいね。
また、流産の大まかな定義(ていぎ)としては、人工流産と自然流産に分けられています。人工流産とは、『中絶』のことです。人工流産によってかかる手術の費用のことは、今後ご説明するのでそちらを参考にしてみてください。

稽留(けいりゅう)流産
稽留流産とは、体内で胎児(たいじ)が死亡して妊娠が継続できない状態になっても、出血や腹痛などの症状がなく、胎児が子宮内にとどまっている状態のことです。兆候(ちょうこう)や症状がないことが特徴です。
稽留流産の場合、子宮内の内容物が自然に排泄(はいせつ)されるのを待つか子宮内容除去(じょきょ)術という手術を行うかになります。ただ、子宮内の内容物が自然に排泄されるのを待つのはリスクが伴(ともな)うので多くの医師は、子宮内容除去術を行うことを勧めるようです。
進行流産
進行流産は、稽留流産同様に胎児が死亡して妊娠が継続できない状態のことを指します。しかし、稽留流産との違いは、腹痛や出血の症状があるということです。
また、進行流産は流産の進行度によって『完全流産』と『不全流産』に種類が別れます。その2種類の流産について、説明していきますね。
完全流産
進行流産の中でも、流産が進行してしまい胎児や胎盤(たいばん)などの子宮内容物の全てが自然に排泄された状態のことを完全流産と言います。
完全流産の場合、その後は自然に子宮が回復するので治療は行わず経過観察となります。ただ、出血や腹痛が続くなどの症状が続くようならば、すぐにかかりつけの婦人科で診察を受けましょう。
不全流産
進行流産の中でも完全流産とは違い、子宮内容物の排泄が始まっており出血などが見られていても、まだ一部の子宮内容物が子宮内に残っている状態のことを不全流産と言います。
不全流産の場合、稽留流産と同時に子宮内容物が自然に排泄され、完全流産となるのを待つか子宮内容除去術を行うか選択することになります。ただ、不全流産も子宮内容物除去術を勧める医師が多いようです。
流産の種類による手術の内容と費用
流産の種類によっては、手術が必要ではない場合もあります。もし、手術が必要になった場合の手術の内容と費用について説明していきますね。

早期の流産の場合
妊娠12週までに起こった早期の流産で手術が必要な場合は、子宮内容除去術と呼ばれる手術が行われます。完全流産では手術の必要がないので、稽留流産と不全流産の場合に手術が行われ、どちらも健康保険が適用されます。
子宮内容除去術は、ハサミ状の器具を使い子宮内容物を取り出す掻爬(そうは)法と、吸引器で子宮内容物を吸い出す吸引法があり、どちらも健康保険が適用され自己負担額は3割となります。日帰りか入院をするかで金額は異なりますが、平均的な金額は1万円台後半から5万円ほどです。
後期の流産の場合
後期流産の場合は、子宮内容除去術が行えないため通常の分娩(ぶんべん)と同様の処置をとるので、分娩費用が発生してしまいます。分娩費用は、健康保険が適用されないので全額自己負担となり、数十万円かかります。また、埋葬(まいそう)料が2万円ほどかかります。
ですが、妊娠12週以降の流産は出産育児一時金の対象となります。出産育児一時金については、これから説明していきますね。
流産した場合、貰えるお金
流産してしまった場合、貰えるお金があります。これらを利用することで、金銭(きんせん)的な不安はだいぶ軽くなると思います。

出産育児一時金
出産育児一時金と聞くと、分娩の費用にかかるお金を給付(きゅうふ)してもらうというイメージがあると思います。ですが、死産・流産の場合にも給付の対象となるのをご存知ですか。
健康保険または国民健康保険などに加入しており妊娠85日【4ヶ月】以降に流産した場合に、出産育児一時金の給付が対象となります。また、夫の健康保険の被扶養配偶者(ひふようはいぐうしゃ)となっている場合でも対象となるので有難いですね。
貰える金額は子供1人につき42万円となり、在胎(ざいたい)週数が22週未満と4ヶ月に満たない場合でも、給付の対象となるケースがありますが、その際の支給額は40万4,000円となります。

傷病手当金(しょうびょうてあてきん)
傷病手当金とは、病気や怪我によって仕事を休まなくてはならなくなった場合に、一定の収入を補償(ほしょう)してくれる制度のことです。要件を満たせば、流産してしまった場合も給付されます。
傷病手当金の支給要件は、本人が健康保険に加入している場合に限られます。支給額は、休業前のお給料の約2/3が支給されます。


出産手当金
出産手当金は、働く妊婦さんが休職する際に勤務先が加入している健康保険から支払われるお金のことです。こちらも、流産の場合にも要件を満たせば給付の対象となります。
本人が健康保険に加入している場合のみが支給要件となり、国民健康保険や夫の健康保険の被扶養者である場合は、給付の対象外となります。支給額は、人にとって異なります。
しかし、先ほどご紹介した傷病手当金との併用が出来ないのでご注意ください。



流産でも、民間の医療保険の対象になる
流産の場合でも、流産の手術費用や入院費用が個人で加入している民間の医療保険の対象となる場合があります。手術給付金、入院給付金、女性特約(とくやく)などが流産でも要件を満たせば給付の対象になる医療保険もあるようです。
稽留流産と不全流産の手術費用は、公的医療保険が適用となるため自己負担額は3割ほどですが、日帰り費用や入院費用なども発生し更に金額は上乗せされます。その場合、民間の医療保険に加入していると安心ですよね。
ただし、保険会社によって異なりますが保険金を請求(せいきゅう)できるのにも期限があります。保険法により、支払いの事由(じゆう)が発生してから3年と定められています。つまり、手術から3年が経過してしまうと保険金が受け取れなくなるということです。

まとめ
- 流産は、種類によっては手術が必要になる。
- 早期の流産は健康保険が適用となるが、後期の流産は健康保険が適用されない。
- 流産した場合に貰えるお金がある。
- 流産でも、医療保険の対象となる。
流産した場合、早期の流産は健康保険が適用されますが後期の流産は思わぬ金額になるケースも少なくありません。辛い時期かとは思いますが、金銭的な負担と心の負担を軽くするためにも手術の費用などを知ることが大事なことです。