子どもが生まれるということは、とても尊(とうと)く喜ばしい出来事ですよね♪新しい命がこの世に誕生する。実にすごいことです!しかし、子どもが生まれるには妊娠(にんしん)~出産までの過程がありますが、全ての子どもが健やかに出産されるわけではありません。
様々な理由によって、中絶(ちゅうぜつ)する場合や流産(りゅうざん)の可能性があります。妊娠時は、子どもが生まれた先の未来を思い描く一方で、その気持ちとは裏腹(うらはら)に中絶や流産といった不安な気持ちを抱えてしまいがちではないしょうか。


今回は流産に注目して、手術の必要性や麻酔(ますい)の有無についてまとめてみました。漠然(ばくぜん)と不安を抱えるか、具体的に不安がイメージができるかでは、心にかかる負担は大きく変わります。一緒に学んで、いざというときに必要以上に不安を抱えないようにしましょう!
もくじ
流産ってどういう状態?

流産とは、妊娠22週よりも前に妊娠が終わってしまうことを言います。ちなみに、約15%の割合で流産に至(いた)るという統計もあるのですよ!


流産の可能性は一般的に、年齢とともに増加すると言われています。前述の15%は20代~30代前半の妊娠における確率で、35歳で20%、40歳では35%、45歳では60%という具合で可能性が増加。ちなみに、流産は中絶と混同(こんどう)されることがありますが異なるものです。
流産は妊婦が出産を望んでいるにもかかわらず胎児が亡くなってしまうことを言います。一方で、中絶は出産を希望しない妊婦に対して、母体保護法で定められている場合にのみ選択できる人工妊娠中絶手術のことを言うのです!
早期流産と後期流産
妊娠12週未満の早い時期の流産を早期流産と言い、妊娠12週以降~22週未満の流産を後期流産と言います。全妊娠の15%ある流産のうち13.3%は早期流産と言われているので、流産全体の約9割は早期流産というわけですね。
早期流産の原因は受精卵(じゅせいらん)の染色体(せんしょくたい)異常がほとんどと言われており、現在の医療技術では止めることができません。こうした例の場合、母体には問題がないというのは重要なポイントです!
後期流産になると胎児側の原因だけでなく、母体にも原因がある可能性が高まります。妊娠中は喫煙(きつえん)や飲酒が禁止されますが、これは流産の原因となり得るからですね。ちなみに、自然流産が2回続くことを反復流産と言い、3回以上続くことを習慣性流産と言います。


流産と手術の有無


流産した際の対応は、『手術』か『待機療法』の2パターンあります。待機療法とは、自然排出されるまで待つということなので、麻酔なしで対応したい場合にはこちらを検討してみるのがよいですね。
麻酔の効果と副作用
このあと待機療法について説明していきますが、その前に『麻酔』そのものについて少しお話ししましょう!麻酔には、手術中に患者の状態を安定させる効果があります。意識をなくし、痛みを感じなくさせるなどが、わかりやすい効果ですね。
一方で、副作用がでる可能性があることはご存じでしょうか?一時的とはいえ意識をなくさせるものですから、なんとなく苦手意識がある方もいるかもしれません。せっかくの機会ですので、いくつか副作用としてでる症状をご紹介しておきます!
- 吐き気/嘔吐(おうと)
- 頭痛
- のどの痛み
- 寒気や発熱
他にもありますが、比較(ひかく)的によく見られる症状としては上記となります。いずれも術後しばらくすれば基本的に症状が落ち着きますが、こうしてみると不安になることも納得です!


待機療法について

麻酔なしで対応することができる待機療法には、いくつかのメリットとデメリットが存在しているので、順にみていきましょう。「麻酔には抵抗があるな・・・。」という方は、要チェックです。
待機療法によるメリット
待機療法によるメリットとしては、自然排出した際に身体にかかる負担が少ない点が挙げられますね。また、自然排出をした後はすぐに次の妊娠が可能になるんです!手術を行った場合は、すぐに次の妊娠へと進むことはできないので、ここは大きなポイントでしょう。
『手術を行わない』というところに注目してみると、『手術費』や『手術に伴う後遺症(こういしょう)のリスク』を心配しなくてよいメリットが見えてきます。


先程も記載しているとおり、メリットだけではなくデメリットもあるんです。この次は、デメリットについて説明していくとしましょう。
待機療法によるデメリット
待機するという性質上、いつ排出されるのか予測ができません。すぐに排出されれれば良いですが、数週間経っても排出されない場合も・・・。また、待機中は多少の痛みや月経時よりも多くの出血を伴う可能性があります。
そして一番悲しく辛いケースとしては、待機では排出できず結果的に手術になるパターンです。待機療法を選択した場合、1~2週間前後を待機期間とし、それを過ぎた際には手術を検討する流れとなっています。


待機療法が上手くいくかどうかは、経過をみて判断する他ありません。待機中に体調が急変して、緊急手術に繋がる例もある為、しっかりとお医者さんや家族と相談しつつ検討しましょう!
手術について

待機療法についてみたところで、次は手術についてみていきましょう。流産の際に行う手術には一般的に掻把(そうは)法と吸引法という2つの方法があります。こちらは麻酔が必要ですね!
また、今回は方法についてのみ触れていきますが、流産してしまった場合の手術の費用はどのくらい?保険はきくの?にて、手術した場合の費用や保険適用についてまとめております。手術を検討する場合に避けて通れないものが費用となるので、こちらも要チェックな内容ですよ!
掻把法
日本で行われる手術のうち8~9割程度で用いられている方法です。子宮口を開いている状態にした後、スプーン状の器具やハサミのような形をした鉗子(かんし)という器具を利用して胎児と胎盤(たいばん)を除去します。妊娠11週くらいまでならこちらの方法が対応可能!
メリットとしては、機械がシンプルで感染などのトラブルが生じにくい点があります。また、ほとんどの医師がこの方法を利用していることから治療への経験値が高く、失敗が少ないですね。
デメリットとしては、吸引法と比べて手術時間が長いことが挙げられます。また、子宮口が堅く術前の拡張が不十分な場合や、筋腫(きんしゅ)合併症の場合は掻把法が困難になることも・・・。
吸引法
吸引法は、機械で陰圧(いんあつ)をかけて筒状になった金属棒を子宮の中に入れます。そして手動または電動で吸引を行うことにより、子宮の中の胎児や胎盤を吸い取る方法です。WHOが安全性を認めており、中絶の手術方法として推奨しております。
日本では胞状奇胎(ほうじょうきたい)などの特殊な症例時に用いられることが多いです。手術時間が短く、出血も少なく済む点がメリット!母体への負担が少ないのは安心できるポイントですよね!ですが、こちらの方法もメリットだけではありません。
日本では掻把法が主流だった為、吸引法の施術例が多くありません。それに伴い技術をもった医師が少なく、術後ケアを受けることができる病院が限られています。また、吸引法に使用する器具は消毒・滅菌が難しく時間がかかります。


まとめ
- 流産と中絶は異なる
- 流産には早期流産と後期流産がある
- 待機療法を選択すれば麻酔なしで済むがリスクもある
- 手術には掻把法と吸引法があり、日本では掻把法が一般的
- 日本でも吸引法が普及が進んでいるので、今後の主流になる可能性は高い
今回は流産時の手術・麻酔について学んでいきました。流産と中絶が異なるということは、意外と知らなかった人もいるかもしれませんね。流産の場合、早い方が選択できる幅が広く、費用も少なく済む可能性が高いです。
日本では主流だった掻把法は、施術のシンプルさというところが普及に繋がったのかもしれませんね。吸引法はWHOが推奨していることもあり、今後は増えていくことが見込まれるでしょう。全ての子どもが健やかに生まれてくれば良いものの、そういかないことが現状です。
妊娠の際はいざという時に慌てず行動できるように、流産に限らずしっかりと情報を集めておきましょう!ただし、調べてみると不安感が増すこともある為、心配のし過ぎにもご注意です!