何らかの理由で妊娠中絶(にんしんちゅうぜつ)を選ばなくてはならない妊婦さん、手術を受けるときに使われる『ラミナリア』処置って痛いんじゃないかと不安になる方も少なくないでしょう。
「悩みぬいて中絶を選ぶその心の痛みに、処置の痛みが加わるラミナリアっていったい何!」と叫びたくもなりますよね。
今回は、中絶手術(ちゅうぜつしゅじゅつ)で使われるラミナリアについて、その使用目的やラミナリアの挿入(そうにゅう)処置後の妊婦さんの過ごし方など、処置を受ける前に知っておいて欲しい前知識をまとめてみましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
もくじ
中絶手術に使う『ラミナリア』とは!?

ラミナリアとは中絶手術の前準備として子宮頸管(しきゅうけいかん)を拡げるために用いられ、『ラミナリア桿(かん)』とよばれる直径3~5㎜で長さが6~8cmほどの昆布で出来ている棒状の素材です。挿入すると体内の水分を吸収して12時間ほどで2~3倍の大きさに膨らむんですよ。
挿入する本数は妊婦さんによって様々で、数本で済んだ方から20本近く挿入した方もいるそうで、1回あたりの挿入時間は短時間で最大24時間以内と限られています。場合によっては数回入れ替えて子宮頸管を拡げることもあるそうですよ。
子宮頸管を拡げる方法には他にも子宮頸管拡張器(かくちょうき)のように器具を使って早く広げる方法もあるのですが、このラミナリアのように時間をかけて子宮頸管を拡げる方法が主流になっていて、母体への負担も少ないんです。

ラミナリアを使うと痛みがあるの?
ラミナリアを挿入するときの痛みは人にとって感じ方が違うようで「激痛(げきつう)で痛いと叫んじゃった!」や「あまり痛くなかったよ」と両極端(りょうきょくたん)に分かれることが多いそうです。
ただし、人によって感じ方が違うので、しっかり主治医の話を聞いておくことが大切ですね。そこで、挿入時と抜くときの痛みをまとめてみたので紹介します。
【ラミナリア挿入時の痛み】
ラミナリアの使用には挿入時と抜くときに痛みを感じるときがあるようです。
- 子宮頚部鉗子(しきゅうけいぶかんし)という医療器具を使うとき「チクッ!」や「ズキッ!」という痛みを感じた。
- 重い生理痛のような痛みを感じた。
- 挿入後の止血用(しけつよう)のガーゼが痛い。
- ほとんど痛みを感じなかった。
このように、実際に挿入してみないとどれくらい痛みを感じるのか分からないんですね。主治医(しゅじい)の話をしっかり聞き、少しでも挿入時の痛が軽減(けいげん)されるといいですね。
【ラミナリアを抜くときの痛み】
経験された方には抜くときの方が痛みを感じたとおっしゃる方もいます。子宮の中でラミナリアが膨(ふ)くらんでいるので、その違和感(いわかん)から神経が敏感(びんかん)になって痛みを感じる方も少なくないでしょう。
- 挿入したラミナリアが体内の水分で膨張(ぼうちょう)する違和感から痛みに敏感になる。
- 抜くときの方が痛い。
- 「チクッ」や「ズーン」といった痛みを感じる。
- 生理中のような痛みを感じる。
このように痛みを感じても我慢できる方や、鎮痛剤(ちんつうざい)を飲まないと耐(た)えきれないという方もいます。痛みに関しては人それぞれで感じ方が違うので、ほとんど痛みを感じなかった方もいるんですよ。まず主治医に「ラミナリアを使うときの痛みが怖い」と相談しましょう。

中絶手術で使う理由とは?
12週目以降に処置をする中期中絶手術は、胎盤(たいばん)や胎児(たいじ)が成長して初期のように器具を使って処置することが困難(こんなん)になります。そこで手術をする前に通り道である子宮頸管を広げておくことが中期中絶手術の大切な準備なんです。
そのため、妊婦の負担がすくないラミナリアで子宮頸管を拡げるんですね。通常は陣痛(じんつう)が近づいてくると子宮頸管は柔らかくなり赤ちゃんが通りやすくなるのですが、計画出産や何らかの原因でお腹の中で亡くなっていたり、妊娠中期で出産を迫られる場合などに使われます。
この場合は、陣痛を誘発(ゆうはつ)させる薬を投与する前に子宮頸管を拡げるためにこのラミナリアが使われるそうです。中絶については、こちらの「中絶の要因とその件数は!!日本で中絶を選ぶ妊婦の理由とその件数」で紹介していますので、ぜひご覧ください。

ラミナリア処置中の過ごし方は?

無事ラミナリアの挿入が完了した後の過ごし方にも注意が必要です。主治医の先生から説明があると思いますが、挿入後の行動についていくつかの注意点があるんですよ。まず無理をしないで身体を休めることが大切です。そのほかにも注意点があるのでまとめてみました。
- 多少性器出血が見られるので、出来るだけ安静にしていましょう。
- 鎮痛剤や抗生物質の内服に注意し必ず主治医に相談しましょう。
- 手術前は飲食ができないので水分摂取や点滴は医師の指示で行います。
- 歩行は可能でが、不安定になりがちなので付き添いを依頼しましょう。
- お風呂やシャワーを浴びることはできません。
- トイレにはいけるが痛みや違和感があったり排尿・排便がしずらい場合があります。
- 無事終わったら心と身体を休める時間です。
ラミナリアを挿入するとどうしても出血してしまうので、普段から使っているナプキンをかならず持って行くとことをおすすめします。ただし、人によっては激しく出血する方もおられるので、その場合は処置中にガーゼをあて止血してくれるので安心しくださいね!

まとめ
- ラミナリアとは子宮頸管を拡げる昆布で出来た6~8cmの細い棒状の素材です。
- ラミナリアは体内の水分を吸収して12時間ほどで2~3倍に膨らみ子宮頸管を拡げます。
- ラミナリアを挿入するときと抜くときの痛みは人によって違います。
- 中絶中期の手術で器具が使えなくなったとき子宮頸管を拡げる目的でラミナリアを使います。
- 処置中は出血や歩行、お風呂やシャワーなど注意事項があります。
- 無事処置が終わったらしっかり心と身体を休める時間です。
これからラミナリアの使用を必要とする妊婦さん、痛みは個人差があるんですよ。また、痛みを和らぐ方法には、体の力を抜いて大きく深呼吸すると痛みも気持ちも和らぎます。そして、処置後はゆっくり身体を休めてください。
中絶手術に使われるラミナリアは妊婦への負担が少ないと言われていますが、心の痛みを抱えながら手術に挑む妊婦さんの心情は言葉では言い表せない痛みなんです。無事処置が終わったらパートナやご家族がしっかり心のケアをしてあげてくださいね。